不登校と私

このブログは、不登校を経験した筆者が、福祉施設に従事しながら「教育」をテーマに主観を書き綴ったものです。現在、学校に行けなくて困っている方、その保護者の方に読んでいただくことで少しでもお役に立てることを祈っております。

部活が学校教育の質を低下させている?

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部活の問題点

部活問題を考えるにあたっては、教員の労働という観点生徒にとっての部活動に分けて考える必要があります。

 

まず、教員の労働という点においては以下のことが問題として挙げられます。

  • 部活動がはじまるは、放課後つまり教員の勤務時間外である。
  • 給特法によって、部活動を積極的に行っても基本的に報酬は出ない。
  • 半強制的に引き受けを頼まれる部活動顧問

 

はじめに部活動の開始時間ですが、当然授業が終わった放課後ということになります。

したがって、教員は生徒の安全を管理するため勤務時間を過ぎているにも関わらず、校庭や部室に向かわなければなりません。

 

次の日の教材の準備、その日の授業の反省、教材研究、生徒指導、生徒と関わる時間、職員会議などはすべて部活動が終わった後に行われます。

 

ここで重要な法律について触れておきましょう。

教員には給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)というものが存在し、教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しないことが定められています。その代わりに「教職調整額」(教員の給料の4%を追加支給)と時間外労働の規制(「超勤4項目」以外で時間外労働を命じることはできない)とされています。

 

  • 「超勤4項目」は、「生徒の実習関連業務・学校行事関連業務・職員会議・災害等での緊急措置など」と定められています。したがって「部活動顧問」はここに含まれていません。部活動顧問業務で残業や休日出勤を命じることは不可能なのです。

 

つまり、勤務時間を過ぎても残業代は「教職調整額」しか出ないというのです。

教員の実質賃金を時給換算すると700円を下回るとも言われています。

教員はブラックと呼ばれる所以ですね。実際、教員の過酷な労働が過労死を生む結果となったとして、労災認定されたケースも発生しています。

 

文科省平成28年度『教員勤務実態調査』によれば、国が「過労死ライン」としている週20時間以上の「残業」をこなす教員は小学校で33・5%、中学校で57・7%にのぼっています。

 

勤務時間外の部活は職務ではない

ここでひとつの矛盾が生じます。

部活動は勤務時間外に始まるため、顧問を担当する教員は職務時間外の教育活動に管理責任が問われるのです。※ほぼ無給で

 

無給で責任が生じる仕事を任されてはたまりません!

部活動顧問を引き受けることで、休日を犠牲にし、本来は教材研究などに費やすべき時間を部活動に注ぎ、問題を抱える生徒との対話もできずに、自らの健康的で文化的な最低限度の生活を保障されていないと感じる教員は「超勤4項目」に含まれない部活動顧問を断るべきなのです。

 

過度な部活動は生徒の学習の権利をも奪う

部活動の顧問を断る教員に反感を抱く人は、過剰な部活動が生徒の学習の質を著しく低下させていることについても考えるべきです。

 

  • 休日なくハードな練習を伴う部活動が行われた場合、生徒は授業中に睡眠をとるようになる。
  • 学校を部活動をする場所、部活動さえできればいいという認識にすり替わる。
  • 部活動顧問に追われ、教材研究を行えない教員の授業の質が低下し、授業の質が下がる。(日本の子どもの学習意欲は非常に低い)
  • 部活動において形成された人間関係が、学校内に大きく影響を与えるため部活内でトラブルがあった場合、問題がより複雑化しやすい。
  • 担当する部活に対しての専門性も経験もない教員が配置されることもあり、生徒にとってかえって危険であったり、マイナス要素にもなりかねない。

 

もちろん部活を通じた教育活動が、生徒の成長に大きな影響を与えることは期待できます。

 

しかし、教員が部活動まで指導する必要性は見出せません。

教員は担当教科を教える技術を各都道府県に認められ採用されているのです。

教員が多忙になり、生徒と関わる時間が減ることは明白です。

そのしわ寄せが生徒に向き、貴重な義務教育期間が犠牲なるのです。

部活動をするならば、また別に各活動を指導する専門家を配置するべきではないのでしょうか。。

 

もう一度、部活動の在り方を考えなおしませんか。