不登校と私

このブログは、不登校を経験した筆者が、福祉施設に従事しながら「教育」をテーマに主観を書き綴ったものです。現在、学校に行けなくて困っている方、その保護者の方に読んでいただくことで少しでもお役に立てることを祈っております。

「髪を染めてはいけない理由」を説明できますか

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地毛証明書をご存知でしょうか

地毛証明書とは、パーマや染髪をしている生徒を見極めるための証明書のことです。

生徒指導を適切に行うためにという理由で東京都教育委員会が証明書の存在を是認しています。

 

たとえば、私の知人で生まれつき髪の毛が茶色いという特徴をもっている方がいましたが、その知人は学校でなんども生徒指導の対象になり教員から「髪を染めているな?」と問いただされ、そのたびに地毛であることを証明しなければならないと嘆いていました。

 

さらに知人は、地毛ということを説明して教員に理解してもらっても、先輩の目につきなにか言われることは絶えなかったと言っていました。

 

最終的にもうめんどうなので、いっそのこと髪の毛を黒髪に染髪するという手段をとることにしたそうです・・・。

 

私はこの話を聞いたときに、悲しくて仕方ありませんでした。

 

他人と見た目が少し違うということのなにがいけないのでしょうか。

知人の髪の色が茶色いことで誰に迷惑がかかるというのでしょうか。

 

おそらく知人に文句を言ってきた先輩も、学校が染髪を禁止にするあまり、なぜ知人だけが他の人と髪の色が違ってもよいのかという疑問を抱き、知人に対して威圧的に迫ったのでしょう。

 

地毛証明書は人権侵害である

今日のニュース(2017年10月27日)によると、大阪府羽曳野市の府立懐風館(かいふうかん)高校3年の女子生徒が、地毛が茶色であるにもかかわらず、学校側から生徒指導の対象となり、髪を黒く染めるよう注意を受け修学旅行の参加も認められなかったとして、大阪府を提訴しました。

 

女子生徒は、仕方なく市販の染髪料で地毛を黒く染めていたそうですが、肌に合わず皮膚を傷めたそうです。

 

尾木ママの愛称で有名な教育評論家の尾木直樹教授は、地毛証明書の存在は人権侵害であると述べています。

 

人にはそれぞれのルーツがあり、家庭環境も出身地も事情もさまざまです。

 

生まれつきの身体的特徴をなぜわざわざ証明しなければいけないのでしょうか。

 

地毛証明書を提出させるということは、「あなたは異質であるけど、不可抗力的に異質になっています」という証明をしなさいという風にしか受け取れないのではないでしょうか。 この点が明らかに人権を脅かしています。

 

染髪はなぜ禁止か

そもそも髪色ひとつ違うだけで指導対象になるほどの重大な問題なのでしょうか。

いったいなぜ染髪は校則で禁止されているのでしょうか。

 

この理由をしっかりと説明できる教員は、はたしてどれくらいの割合いるのでしょう。

 

他人に迷惑・風紀を乱すという理由で禁止するなら具体的な根拠を述べるべきです。

 

私が思いつく理由はせいぜい地肌を痛めてしまうリスクが生じる程度です。

禁止にするほど重大な問題には思えません。

 

逆に染髪を禁止することで、画一的なものしか許容しない狭い価値観を植え付けられてしまうような気すらします。

 

もう日本社会特有の「思考停止」という負の遺産を残すのやめにしませんか。