本紹介『ペンギン・ハイウェイ』
読書の秋...
読書が脳にもたらす影響力は絶大で、想像力や文章力語彙力の増加などにいい効果をもたらすことが期待されます。また、読書は集中力を高め若年性アルツハイマーの予防にもつながるとも言われています。
これらの根拠は、医学的な見地から読書の効果を解説している記事をご参考に。
ペンギン・ハイウェイ
森見登美彦 作 角川文庫
読書が脳にいい!ということに触れたところで、私がおもしろいと思った本をご紹介させていただければと思います。*1
はじめに宣言いたします。
私は森見登美彦のファンです。
森見作品独特の世界観や言い回しがクセになり、数度しか訪れたことのない京都への興味も一入にされてしまいました。。
森見登美彦作品は『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半神話大系』が有名ですが、その舞台設定の共通点として「大学生」であるとか、登場人物が非常に個性的でどこか似たような設定をもっているのです。(『きつねのはなし』『有頂天家族』などは除く)
森見作品の代名詞ともいえる「私」という冴えない主人公が抱く淡い青春の夢と、理想とはまったくかけはなれた現状を嘆く独特の世界観。
これが「森見ワールド」と呼ばれ、森見作品のファンのひとつの楽しみでもあるわけです。
しかし、今回ご紹介する『ペンギン・ハイウェイ』は森見登美彦作品のなかでも、異質の作品です。
『ペンギン・ハイウェイ』には「大学生」も、「私」も出てきません。
登場人物は、日本で一番ノートを書いているだろうと自負する小学生の「ぼく」と歯科衛生士の「おねえさん」と小学校の友達、そしておとうさんなど。
この「おねえさん」が歯科衛生士という設定は、その他の作品でも出てきますが、それ以外は森見作品独特の偏屈な「私」要素がないのです。
これだけで、「森見ワールド」を期待していた私は「お!?」と興味をそそられてしまいました。
物語は、将来研究職を夢見る少年「ぼく」が毎日の発見をノートに書き溜めているという現状の述べるところからはじまります。
「ぼく」は小学校4年生でありながら、日常のさまざまなことを多角的に考察したり、論理的に説明することができます。
その分、クラスのガキ大将なんかとは話が合わなかったりするわけです。
そんな日常のなかで、ペンギンが少年の住む街中に突如現れるという事件が起こります。その事件をきっかけに、少年の研究がはじまり、少年は事件の原因を解明するという使命をおねえさんから託されるのですが...。
ぜひ秋の夜長に一冊読みふけてみてはいかがでしょう。
*1:こちらの記事ではネタバレを含みません、本の内容には簡単に触れますが、あくまで導入部分の説明に留めるつもりですので、これから本を読もうという方も安心して最後までお読みいただけます。