不登校と私

このブログは、不登校を経験した筆者が、福祉施設に従事しながら「教育」をテーマに主観を書き綴ったものです。現在、学校に行けなくて困っている方、その保護者の方に読んでいただくことで少しでもお役に立てることを祈っております。

『3月のライオン』第27話でいじめに関する放送回をみて思ったこと

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3月のライオン

2017年10月14日よりNHK総合テレビにて

 

毎週土曜23:00~23:25(全22回)放送中の3月のライオン

 

概要

 

幼いころに交通事故で家族を失い、父の友人である棋士、幸田に内弟子として引き取られ、15歳で将棋のプロ棋士になった桐山零。

 

自らの境遇に否定的な感情を抱いていた桐山零が、さまざまな出会いをきっかけに自らの人生や存在理由、将棋を通して芽生える新たな感情に向き合い成長する物語。

 

主人公以外の存在に共感する人物設定

そんな天才プロ棋士である桐山が出会うのは、橋向かいの三月町に住む川本家。

 

川本家の人々も家族を失う辛い過去を抱えているが、日常では気丈に明るく振る舞っている。

 

川本家の人々

 

亡き母親の代わりに妹たちの面倒を見ながら、昼は祖父の経営する和菓子屋・三日月堂の手伝いに従事し、週に2回ほど夜に伯母の経営する銀座の店・美咲でホステスとして働きながら家計を支える長女あかり。

 

あかり同様、非常に明るく正義感にあふれる中学生の次女ひなた。

 

そして、あかりが母代わりとなり面倒をみる園児の三女モモ。

 

駄菓子屋を営む三姉妹の祖父・川本 相米二(かわもと そめじ)。

 

家族を失った桐山零にとって、川本家は家族も同然の存在であり、夕飯をときどき食べに行く間柄である。

 

そんな中、いつものように桐山零が夕食によばれ川本家を訪れると

 

次女ひなたが学校でいじめられていることが発覚する。(アニメ 第27話)

 

子ども自身が誰にも相談できないといじめは深刻化する

いじめ防止対策推進法第2条第1項

この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が身体の苦痛を感じているものをいう。

 

いじめられていることを告白したのは、ひなた本人であった。

 

長女あかりと桐山零が夕食の支度をして家族の帰りを待っていると、学校から帰宅し突然泣き崩れるひなた。

 

そこで、家族をはじめ桐山零は、いじめの存在を認知する。

 

いじめに至るまでのいきさつ

 

はじめ、いじめの対象はひなたではなく、ひなたの友人が仲の良かったグループから、些細なことをきっかけに突如いじめられるという事態が発生したという。

 

正義感の強いひなたは、友達を庇い いじめを是認しなかった。

 

しかし、いじめをはじめたグループの行為はエスカレートし、担任に相談しても勘違いではないかと跳ねのけられたという。

 

クラスの人間も標的にされるのを恐れ、いじめを傍観した。

 

結局、いじめに耐え切れなくなったひなたの友人は学校を転校することとなり

 

いじめの標的がひなた一点に移ったというものである。

 

それを聞いた桐山零は、自らが通う高校の元担任に相談をすることに。

 

桐山零の元担任は、対応を行わなかったひなたの担任に憤慨しながらも

 

いじめに対する処置について桐山零に次のように声をかけた。

 

「まず、本人がいじめについて家族に話せたことが一番大きい。」

 

いじめが深刻化する大きな要因のひとつが、本人がいじめをひた隠し、事態が取り返しのつかないところにまで発展してしまうことにあるからだ。

 

しかし、今回のケースでは担任がいじめの報告を受けているにも関わらず対応していない。。このことは大問題であるが、実際に社会で起きうる設定を3月のライオンの作者である羽海野チカさんはリアㇽに描いている。

 

そして、桐山零の元担任は続けてこう述べる。

 

「いじめに対する教育相談には、何十万件ものサイトが存在するものの、万能な解決策はない。 しかし、本人が望む解決こそ一番の解決法である。」

 

これはまさしく、いじめの解決には長い時間をかける必要があり、当人同士、クラス、担任を含めた教職員が向き合わなければならないことを示唆している。

 

ひなたの友人は、問題を取り合う気のない担任の対応に期待することは避け

 

転校という手段をとった。 これはひとつの正解である。

 

精神的苦痛を伴う場所にいても、中学校での学習に身が入るわけはなく、自分自身の教育を受ける権利が阻害されるのみであるからだ。

 

では、ひなたの場合なにが本人の納得する解決なのであろうか。

 

そもそも、正義感のつよいひなたはいじめの標的になることもいとわずに声を上げた

 

したがって、ひなたは友人のように転校をして環境を変えることでリスタートを切るということは望まないのであろう。

 

いじめの問題について、3月のライオンでは現代社会の問題として取り上げているように思えた。

 

まず担任が取り合うべき問題ではあるが、結局のところ本人が納得した結論を導くことが重要である。

 

今後、ひなたにはどのような選択肢があるのかを共に考える展開を期待したい。